軽事業用ナンバーの取得
今回は黒ナンバーの取得についてご案内致します。
最近では、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響などで、デリバリーサービスなどの利用が増加しておりますが、これに伴い無許可の配送業者なども増えております。
個人で軽自動車などを用いて、これらのデリバリーサービスの事業を開始する場合には、黄色ナンバーのままではなく貨物軽自動車運送事業の届出を行い黒ナンバーを取得する必要がありますので、今回はこちらの届出についてご案内したいと思います。

貨物軽自動車運送事業の届出とは、文字通り貨物を軽自動車等で運送する事業を開始するための届出となり、こちらがいわいる黒ナンバーの取得手続きになります。
貨物運送事業法・第36条では、「貨物軽自動車運送事業を経営しようとするものは、国土交通省令で定めるところにより、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要、その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。」と定めています。
一般貨物運送事業の場合には、許可が必要であり、許可の要件もトラック5台以上を保有していること。など若干ハードルが高いものになりますが、軽貨物の場合は、個人で軽自動車1台からでも開始することができますので、個人事業主としても比較的始めやすくなっています。
届出についての公示基準
届け出には一定の基準が設けられていますので、次にこの基準について見てみましょう。
- 自動車の台数や使用する自動車の乗車定員・最大積載量などの数値基準
- 自動車の保管場所があること。
- 自動車の使用権限を有すること。
- 都市計画法等の関連法令に抵触しないこと。
- 休憩睡眠施設などを有すること。
- 運行管理体制が適切であること。
- 運賃料金などが適切であること。
- 運送約款を定めていること。などが基準となっています。
自動車については通常の軽自動車で問題ありません。保管場所や休憩場所などについても自宅を営業所とする場合、自宅に保管場所があり、休憩場所や事務所スペースとして使用する部屋があれば問題ありません。
※軽自動車も地域によっては警察に保管場所の届出が必要になりますのでこちらにも注意してください。
都市計画法等の関連法令に関しては、都市計画法の用途地域が住居専用地域等の場合は事業所を設置できないといった規制に注意。その他にも農地法、建築基準法などについても別途調べる必要があります。
また、マンション等の賃貸物件の場合は管理規約等にも注意が必要。
運送約款については、国土交通大臣が定めて公示した標準約款を使用することができますので、全てを自分で作成する必要はありません。ただし、標準約款を使用する場合には、自分が行う事業内容と標準約款の間に差違があってはいけませんので、標準約款の内容をしっかりと確認して、自分が行う事業内容に合うように適宜修正する必要があります。
届出場所
届出は、営業所を所管する各運輸支局で行うことになります。
まず、貨物軽自動車運送事業経営届出書、運賃料金表、それぞれ提出用、控用の計2部を作成し届出をすると、事業用自家用車等連絡書が交付されます。
次に、事業用自家用車等連絡所書に車検証などの必要書類を添えて、軽自動車の届出手続を行うと、黒ナンバーが交付されます。届出を行い黒ナンバーが交付されたら、貨物軽自動車運送事業を開始することができます。
※黒ナンバーの場合はご当地ナンバーは交付できません。また、黒ナンバーで届出された軽自動車は任意保険も若干割高になります。
開業届
届出が完了し、開業したら税務署に開業届を提出します。同時に青色申告承認申請書を提出すると青色申告の所得控除が受けられますが、反面、正規の簿記による帳簿付等が必要になります。
その他、自治体によっては新規開業支援の補助金等を設けている地域もありますのでこちらも一度ご確認ください。
また、外国人の方がアルバイトでこういったお仕事を行う場合には、入管当局より、資格外活動許可の中でも、包括許可ではなく個別許可を受ける必要があるとの見解が示されていますので、資格外活動にならないように十分注意してください。
軽貨物の届出等でお困りの際は、行政書士に相談ください。