留学生が日本で働く場合に注意すべき法律ポイント

留学生が日本で働く場合に注意すべき法律ポイント

~新入学の留学生を支える担当者として知っておきたい基礎知識~

日本で学ぶ外国人留学生にとって、アルバイトは貴重な収入源であるだけでなく、社会経験を積む良い機会でもあります。しかし、留学生が働く際には法律で定められたルールがあり、それを正しく守らないと、本人はもちろん、雇用主や支援する大学にも影響が及ぶ可能性があります。ここでは、担当者として留学生を支援する際に押さえておきたいポイントをまとめました。


1. 留学生のアルバイトに必要な「資格外活動許可」とは

外国人留学生が学業以外で働く場合、日本の法律では**「資格外活動許可」**を取得する必要があります。この許可は、留学生が「留学」の在留資格を持つ中で認められる働くための条件です。

  • 申請方法:入国管理局に申請書を提出します。必要書類には在留カード、パスポート、申請書などが含まれます。
  • 許可される時間
    • 週28時間まで(学期中)
    • 長期休暇中は1日8時間以内

注意:無許可で働いた場合、留学生は強制退去や罰則の対象になる可能性があります。


2. 学業優先の原則

資格外活動許可はあくまで学業を優先することを条件に認められています。そのため、学業に支障が出るほどの長時間労働や、学業を疎かにする行為は避けなければなりません。担当者としては、以下のポイントを留学生に伝えることが重要です:

  • 学業のスケジュールに無理のない範囲でアルバイトを行うこと
  • 雇用主との話し合いで働く時間帯を調整すること

3. 留学生が従事できない職種に注意

留学生は、すべての職種で働けるわけではありません。日本の法律では、風俗営業(パチンコ店やキャバクラなど)に関連する仕事は留学生に禁じられています。このルールを破ると、重いペナルティを受ける可能性があります。

禁止職種の例

  • カラオケ店やバーでの接客業務(風俗営業に該当する場合)
  • 深夜営業に関わる一部の仕事

支援担当者は、留学生が不注意で違法な職種に従事しないよう注意喚起を行う必要があります。


4. 雇用契約の内容を確認

留学生がアルバイトを始める際には、雇用契約書や労働条件通知書を確認するよう指導してください。不適切な契約や口頭契約だけで働き始めると、トラブルに発展する可能性があります。

  • 確認すべき項目
    • 賃金(時給や支払い日)
    • 労働時間や休憩時間
    • 契約期間
    • 業務内容

また、最低賃金法が地域ごとに異なるため、その地域の最低賃金を下回らないよう注意を促しましょう。


5. 留学生へのサポート体制を整える

留学生が安心して働ける環境を整えるため、大学や支援機関として以下のような取り組みが効果的です:

  • オリエンテーション:法律や働く上でのルールについて説明する機会を設ける。
  • 相談窓口の設置:留学生がアルバイトに関するトラブルを抱えた場合に気軽に相談できる窓口を用意する。
  • 雇用主への情報提供:雇用主向けに、留学生を雇う際の法律や手続きについて啓発を行う。

6. 日本の税制度と社会保険の理解

アルバイトをする留学生も、日本の税制度や社会保険に一部該当する場合があります。例えば:

  • 所得税:一定額を超える場合、所得税が差し引かれます。年末調整や確定申告が必要になる場合もあります。
  • 住民税:在留期間が1年以上の場合、住民税の対象となることがあります。

これらについても基本的な情報を提供できる体制があると留学生の安心感が増します。


まとめ:留学生の学びと働きを支えるために

留学生が日本で働く際に法律を遵守することは、本人にとっても、支援する側にとっても重要な課題です。正しい知識を持ち、適切なアドバイスを行うことで、留学生がトラブルを避け、安心して学びと働きの両立ができる環境を整えることができます。

支援担当者として、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に、留学生が日本での生活をより良いものにできるよう力を注いでください。

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