在留諸申請にかかる申請手数料の改定について

在留諸申請にかかる申請手数料の改定について
目次
まず、2025年4月1日から、出入国在留管理庁(以下「入管」)管轄の在留資格関連手続きにおける申請手数料が改定されました。
代表的な改定内容は、次の通りです:
| 手続き | 改定前 | 改定後(窓口) | 改定後(オンライン)* |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更許可申請 | 4,000円 | 6,000円 | 5,500円 |
| 在留期間更新許可申請 | 4,000円 | 6,000円 | 5,500円 |
| 永住許可申請 | 8,000円 | 10,000円 | —(オンライン申請不可) |
| 再入国許可(1回) | 3,000円 | 4,000円 | 3,500円 |
| 再入国許可(数次) | 6,000円 | 7,000円 | 6,500円 |
*「オンライン申請」は紙の申請より手数料が安く設定されており、デジタル手続きの促進も目的の一つとされています。
この改定の背景としては、入管手続きの処理コストの上昇、申請数増加、審査体制の強化、そして手続きのデジタル化対応などが挙げられています。
なぜ今回、まずは小幅な値上げだったのか
2025年の改定は、ほとんどの手続きで「4,000円 → 6,000円」「8,000円 → 10,000円」という、いわば“段階的な”値上げでした。これは、法律上(現行の入管難民法など)で手数料の上限が概ね「1万円」とされてきたため、制度の枠組みの中で実現可能な改定として設定されたためとみられます。
また、今回の改定でオンライン申請の手数料だけを安くする差別化を行ったことで、利用者の利便性向上と行政の効率化の両立を図ろうという意図も見えます。
その意味で、2025年の改定は「制度変更の第一歩」と位置づけられ、行政の事務負担の増加や在留外国人の増加に応じて、今後のさらなる見直し余地を残すものだったとも言えます。
今後のさらなる「大幅引き上げ」の検討状況 — 2026/2027 年に向けて
ところが、最近になって、政府・関係機関は「2026年度から 2027 年度にかけて、在留資格手数料を大幅に引き上げる案」を本格的に検討している、との報道が相次いでいます。
報道ベースで想定される改定案(現時点で最終決定ではありません)は、ざっくり以下のような水準です:
- 在留資格変更・在留期間更新:6,000円 → 約 30,000〜40,000円
- 永住許可申請:10,000円 → 100,000円超
この改定案が実現すれば、在留更新や変更で現在の5〜7倍、永住許可申請では10倍以上と、実質的に「大幅なコスト増」となります。
なぜこのような大幅引き上げを検討しているのか。その背景には以下のような事情があります:
- 外国人の在留者数が増加し、それに伴い入管業務の審査・管理コストや多言語支援、住環境支援などの行政コストが膨らんでいる。
- これまで日本の在留手数料は欧米諸国と比べても非常に安く、「行政サービスのコストを個人が負担していない」という不公平感があった。今回の見直しは、欧米並みの水準へ近づける狙いがある。
- 政府は、増えた手数料収入を、外国人支援の強化、不法滞在対策の強化、審査体制の整備などに充てる意向。これにより行政サービスの安定化を図るという説明もなされている。
ただし、これらはあくまで「検討中の案」であり、実際の金額や適用時期、詳細な制度設計は、今後の法改正(入管法の見直しおよび政令改正)により確定される予定です。
こうした変化が意味すること — 影響と留意点
✅ 外国人の生活・在留コストへの影響
もし大幅引き上げが実現すれば、毎回の在留資格更新や変更手続きで数万円〜数十万円のコストがかかることになり、これまで「手続き費用=数千円程度」という感覚だった人々にとっては、生活設計や再更新のタイミングを大きく見直す必要が出てきます。特に家族帯同者や、複数人分の更新が必要な世帯では、負担が重くなる可能性があります。
また、申請書類の不備や更新時期の見落としなどで再申請が必要になった場合、二重にコストがかかるリスクも無視できません。
✅ 企業(雇用主)側の人事戦略・コスト計画への影響
外国人材を多数雇用する企業、とくに中小企業では、これまで軽視されがちだった「在留手続きのコスト」が、今後は人件費・福利厚生コストの重要な構成要素になります。更新手続きや永住申請を会社がサポートする場合、その分の費用負担が増大するため、予算や雇用方針、人材採用戦略の見直しを迫られる可能性があります。
また、少なくとも5年の在留期間を確保できるような「長期の資格付与」がこれまで以上に重要となるでしょう。頻繁な更新を避けることで、コストを抑える狙いです。
✅ 行政・社会制度にもたらす意味合い
政府としては、手続きコストの適正化、在留外国人増加への対応、審査の厳格化・適正化、多言語支援の充実、不法滞在対策強化などを目的としており、手数料収入の増加を、制度基盤整備や社会インフラの拡充にあてる意向です。
このように、単なる「値上げ」にとどまらず、日本の外国人政策・共生社会づくりの転換点という側面もあります。
今後予想される展開と、申請を控える人/企業へのアドバイス
- 法改正の動向を注視
— 現行法では手数料上限が約1万円とされているため、今回の大幅引き上げを実現するには、制度改正(法および政令改正)が必要。2026年度の通常国会での議論の行方がカギ。 - 可能なら「長期間」の在留資格を目指す
— 更新頻度を減らすことで、将来的な手数料負担を抑える効果が期待される。特に企業が支払を負担する場合、人材戦略とも密接。 - 申請はオンラインを活用する
— 2025年改定ではオンライン申請の手数料が窓口より安価に設定されており、デジタル申請の推進が図られている。今後もオンライン申請の利用が望ましい。 - 予算・ライフプランを見直す
— 家族帯同者、依頼者多数の企業、あるいは頻繁に在留資格を変える人は、将来的なコスト負担を見越した準備が必要。 - 最新情報のチェックを欠かさない
— 報道されている改定案はあくまで“案”であり、最終決定時の内容が異なる可能性がある。正式な法令・政令、入管からの正式発表を確認すること。
まとめ — 「これからの在留手続き費用」はどうなるか
- まず、2025年4月1日から小幅な値上げ(例:4,000円→6,000円、8,000円→10,000円)が実施され、オンライン申請の手数料設定なども見直された。
- しかし、この改定は「段階的な第一歩」。2026〜2027年には、申請手数料を数万円〜十万円の単位に大幅引き上げする案が政府で検討されている。
- この大幅な引き上げが実施されれば、在留外国人、家族、雇用企業ともに、手続きコストだけでなく、ライフプラン・人事戦略・生活設計にも大きな影響が及ぶ。
- その一方で、増収分は外国人支援・入管管理体制の強化などに充てられる可能性があり、日本の外国人政策・共生社会づくりの進展を見据えたものとも言える。
したがって、これから在留資格の申請・更新を予定している方、あるいは外国人を雇用する企業は、「申請タイミング」「在留期間の選択」「更新頻度」をあらためて見直し、「将来のコスト負担」を見据えた準備・戦略が求められます。
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